振袖からカビや防虫剤の匂いがしてお困りの方に、匂い解消法をお教え致します。
近年、成人式では古典柄やレトロ柄が人気とあって、ママ振袖を活用される方が増加傾向にあります。
ですが、お母様が振袖を着なくなり、タンスにしまい込んで20年以上なんてことも…
お嬢様の成人式に、いざたとう紙を開けてみると、カビや防虫剤、古い衣類のようなイヤな匂いがしてしまう場合が多々あります。
特に着物用の防虫剤「樟脳(しょうのう)」のナフタリン臭は強烈です。
せっかくの成人式なのに、匂いが気になって成人式を楽しめないという失敗がないよう、振袖の匂い解消法をご覧ください。
匂いの種類によって解消法は異なる
まず、匂いの種類を見極めましょう。
それぞれに匂いの原因によって物質が異なりますので、解消法も違います。
カビの匂い解消法
着物に生えるカビの原因は、生地の性質と高温多湿である日本の気候による物です。
クローゼットに除湿剤を置いておくと、いつの間にか水がいっぱいになっている事がありますよね。
普段から、陰干しなどで風通しや湿気飛ばしを行っていれば予防できるのですが、一度着物を広げるとたためない方が多いお母様世代では、きちんと春・秋の年二回陰干しをされている方は少ないと思います。
そこで、カビが生えてしまった振袖の匂い解消法、「布でカビ取り」と「陰干し」をご紹介させて頂きます。
布でカビ取り手順
カビが初期の段階では、フワフワとした白カビが付着しています。
表面だけにホコリのように付いている白カビは、布等で拭き取る事が可能です。
- ゴーグルやマスクなどを着用します
- 屋外で着物ハンガーに吊るします
- 白カビ部分を布で落とします
特にアレルギーなどをお持ちの方は、ビニール手袋もおすすめです。
屋内だとカビ菌が飛散してしまう恐れがありますので、屋外で作業を行います。
表面を布で優しくなでるようにしてカビを落としていき、裏側からは軽くたたくようにしてカビを落とし匂いの原因を除去します。
ただし新しい白カビに対しては、有効な手段となりますが、古いカビの場合は、茶色に変色して裏側まで浸透していますので、布で拭き取る事はできません。
陰干し手順
布でカビ取りをした後に、日光や蛍光灯を避けた暗所で、振袖を着物ハンガーに吊るしましょう。
着物に風を通す事による消臭対策です。
- 直射日光が当たらない場所を選びます
- 着物ハンガーに振袖を吊るします
- 振袖に風を通します
着物は光に弱いため、長期間日光や蛍光灯に当てると部分的に色ヤケをおこしてしまう場合がありますので、注意しましょう。
振袖が下に引きずらないよう、なるべく高い位置から吊るしましょう。
振袖を干して自然に風を通るのを待ちますが、風が通らない場合は扇風機や冷風ドライヤーの微風で、風を通す方法があります。
夜は湿気が多いため取り込みながら、2週間~1カ月程度で匂いを飛ばしましょう。
軽度のカビが解消した後は、古いたとう紙は処分して、必ず新しいたとう紙に交換してください。
ご紹介した2つの解消法は、初期のカビに対する応急処置です。
カビ菌の状態が、ひどかったりする場合は、着物専門の洗いをしている悉皆屋(しっかいや)か専門店で相談しましょう。
振袖の丸洗いは、洋服のクリーニングと同じく皮脂汚れを落とすのが得意な石油系溶剤で洗うドライクリーニングになります。
丸洗いは、カビ汚れやシミを落とす事は苦手な為、カビ抜き除菌やシミ抜きなどのメニューがある専門店を選ぶようにしましょう。
振袖のカビが軽度の場合
比較的新しいカビで生地の裏側まで通っていない軽度の場合は、丸洗いとカビ抜き除菌で解消できます。
振袖のカビが重度の場合
古いカビが広範囲にわたり、生地の裏側にまで侵食してしまっている重度の場合は、カビ抜き除菌をした後に地色が抜けてたり変色している事がありますので、染色補正やシミ抜きが必要になります。
また、縫代部分の中にまでカビが生えている時は、一度振袖をバラして反物の状態に戻し、キレイにしてから仕立直しをする「洗い張り」がおすすめです。
お母様の振袖を成人式で活用される場合は、洗い張りを行うとお嬢様の寸法通りに仕立て直しができるメリットがあります。
専門業者によるカビ抜きは、1ヶ月~2ヶ月程度かかりますので、前撮り時期なども考慮して余裕を持った時期に出しましょう。
防虫剤や古着のような匂い解消法
着物の防虫剤といえば、樟脳(しょうのう)が代表的ですが、匂いが相当きつめです。
長期間にわたり、樟脳で振袖を保管されていた場合、陰干し程度では匂いが消えずお困りの方も多いのではないでしょうか。
また、樟脳ではなく無臭の防虫剤で振袖を保管されていた方でも、古着のようなイヤな匂いがする場合があります。
長期間保存によってタンスの匂いが振袖にうつってしまった可能性や食べ汚し、タバコや香水などが匂いの原因です。
匂いがきつすぎて、陰干しではあまり効果がない場合の解消法は、「ビニール袋に消臭剤と一緒に入れてみましょう」
ビニール袋に消臭剤と一緒に入れる手順
- 振袖をたたんでビニール袋に入れます。
- 無臭の消臭剤を振袖から離して入れます。
- ガムテープでビニール袋を密封します。
- 暗所で1週間程度放置して、匂いをチェックします。
消臭剤が全体に行き渡りやすいよう、なるべくフワッと振袖をたたみます
香り付きの消臭剤は、匂いが混ざって悪臭になる場合がある事から、無臭タイプの消臭剤にしてください。
消臭剤が振袖に当たっていると変色する原因になりますので、密封前に離れているか確認しましょう。
まだ匂いが消えないようであれば、さらに数日置いてみましょう。
ごちらの匂い解消法でも、匂いが消えない場合は、オゾン消臭など匂い消しに特化した加工を行ってくれるメニューがある専門店に相談するのがおすすめです。
匂いの再発防止として、年2回の陰干しや着用後のクリーニング、無臭タイプの防虫剤や除湿剤を使用するなど、対策をして頂けたらと思います。
絶対やってはいけない匂い解消法
カビが古すぎて、きつい匂いの解消法が見つからない場合であっても、絶対やってはいけない対策がありますので、ご参考ください。
- 香水
- 消臭剤
- アイロン
- 水で洗う
匂いをごまかす為に、さらに香水で匂いを上書きしてしまおうという思惑ですが、振袖に直接香水をかけてはいけません。
香水の成分によって、変色やシミになってしまいます。
ファブリーズやリセッシュなどの消臭剤も、香水と同様の理由からNGとなり、霧吹きでかけられた水分で水シミや輪ジミが広範囲にできてしまう事があります。
アイロンの蒸気をあてる事で菌が繁殖し、匂いが悪化する事があります。
また、カビが生地の中まで浸透してしまう事や生地が縮んでしまう事がありますので、アイロンは匂い解消法にはなりません。
振袖の生地は、水に弱い絹で織られていますので、部分的であっても水で洗う事はやってはいけません。
生地が縮んでしまったり、水ジミや輪ジミができて、クリーニング代が高額になる場合も。
まとめ
洋服は匂いがするとNGだけど、着物は少しくらいならOKと思っていませんか?
風潮として、洋服からカビや防虫剤の匂いがしたら着用を控えますが、なぜか着物だと少しくらいなら大丈夫と思われる方がいらっしゃいます。
実は、着物も洋服と同じで匂いはNGです。
成人式では、屋外なら同級生と久々の再開を楽しんでいてもあまり匂いは気になりませんが、会場内に入った途端、悪臭が...なんて事も。
現代では、スメルハラスメント(スメハラ)という言葉があるように、匂いがトラブルの原因になってしまう事がありますので、しっかりと匂い対策を行って周囲に迷惑をかけないよう気を付けましょう。