卒業式に袴を着るのはなぜ?歴史を遡ると答えがわかる

3月の卒業式シーズンでよく見かける女性の袴姿。

卒業式ではほとんどの女性が、卒業袴スタイルで出席されますよね。

そこで今回は、どうして卒業式で袴を着るようになったのか?歴史と意味を併せてご紹介させて頂きます。

目次

袴の語源

袴の由来は定かではありませんが、日本書紀や古事記の記述で、婆加魔や褌(ふんどしもはかまと呼ばれていました)が見られますが、通説としては、腰に巻いていた裳(も、まとう意)から発達して、穿(は)くようになった「はくも」というのが転じて語源になったとされています。

袴の歴史

袴の歴史は、古代の埴輪(はにわ)にも見られるように男性の袴は、古墳時代にまで遡ります。


写真は、twitter@sakana6634より引用

古墳時代の袴は、男子のみに用いられ、足首まである太いズボンの形をしていました。

ちなみに正倉院にある最古の袴は、それに近いモンペのような形をしているそうです。

そして平安時代に入ると、貴族男子が礼装で着用するようになり、実用的なものから儀礼的なものへと変化していきます。

やがて前の鎌倉時代の武士の文化に貴族の文化がまじりあった室町時代では、用途によって色々な形の袴がうまれましたが、現代では股が割れた「馬乗り袴」が着用されています。

馬乗り袴<.h3>


写真は、のるるの着物より引用

女性の袴は、飛鳥・奈良時代に貴族の下着として用いられていましたが、やがて外出する衣裳と変化します。

平安時代では、身分の高い女性たちが宮廷で、緋袴(ひばかま)または紅袴(くれないのはかま)が着用しており、現代でも巫女装束として用いられています。

緋袴を着用している雛人形の三人官女


写真は、徴古館より引用

しかし、鎌倉時代以降に袴を略して小袖で外出することが流行し、衰退します。

明治時代に入ると、華族女学校をはじめとした、宮中や大奥にゆかりのある「上流階級の子女が通う学校の制服」として導入され、また儀式の際や火事装束の礼服として再び注目されるようになりました。

明治初期に女子教育の黎明期を迎え、東京女学校や東京女子師範学校などが相次いで創立されました。

そこで、女子生徒たちの服装について議論が活発化し、着物姿では帯や裾が乱れやすいという問題から、政府はこの時代では例外的に女学生に男袴の着用を認めました。

つまり、女学生が袴を着用しはじめた頃は、男袴だったのです。

それから一時着用が禁止され、江戸時代の小袖姿に逆戻りしてしまいますが、学習院女子部の前身である「華族女学校」創設者の下田歌子氏によって、新しい形である行燈袴(あんどんばかま)が考案されました。

股が左右に分かれていないロングスカート式の行燈袴


写真は、wikipediaより引用

それが次第に一般の女学校に広まり、袴=女学生のイメージが定着していったのです。

紫の行燈袴をはいた女学生は、「海老茶式部」と呼ばれていたそうです。

彼女たちは、袴姿で颯爽と歩き、自転車に乗ったりテニスをしたりと、江戸時代のひかえめな女性像とは対照的に、新しい時代を生きる活動的な女性像として、雑誌のグラビアを飾ったり小説のヒロインになったりと社会的にも注目を集める存在でした。

そんな彼女たちを紫式部になぞらえ、海老茶式部と呼ぶようになり、海老茶色の袴に革靴、大きなリボンの女学生スタイルが完成しました。

南野陽子さん主演で実写化された大和和紀さんの人気少女マンガ「はいからさんが通る」 のはいからさんが、まさに海老茶式部スタイルですね。


写真は、amazonより引用

袴の豆知識

袴の折り目に意味があるってご存知でしょうか。

袴の表には5本の折り目(ひだともいいます)があり、儒教における5つの基本的な人間関係を規律する徳目と人が常に守るんべき徳目をあらわした五倫五常が表現されています。

【五輪】

  1. 君臣の義 ・・・ 君臣(くんしん)は義を重んじお互いを思いやる。
  2. 父子の親 ・・・ 父子は親しみを持つ。
  3. 夫婦の別 ・・・ 夫婦は互いに役割を持つ。
  4. 長幼の序 ・・・ 兄弟は互いを愛し、敬って序(上下関係)を守る。
  5. 盟友のの信 ・・・盟友(固い約束を結んだ友)は信じあう。

【五常】

  1. 仁 ・・・己に克ち、他に対するいたわりのある心のこと
  2. 義 ・・・正しい行いを守ること
  3. 礼 ・・・礼儀、礼節を重んじること
  4. 智 ・・・物の道理を知り正しい判断を下すこと
  5. 信 ・・・いつわりのない忠実な誠の心

卒業式に袴を着る意味

明治期に女学生の制服として考案された行燈袴は、平安時代の宮廷に仕えていた女性たちが着ていた十二単の袴に由来しており、学問の場にふさわしいきちんとした身なりとして受け入れられています。

それから洋装化が進んで実用性から儀式的な礼装へ変化し、卒業式という厳かな式典の衣裳として着用されるようになりました。

こうした学業との結びつきという側面から、現代に至るまで受け継がれています。

また、海老茶式部と呼ばれる女学生は、高等女学校への進学率が低い当時に女学生という高い身分の象徴であり、和洋折衷の女学生スタイルはファッションリーダーとして、多くの女子たちの憧れだったようです。

まとめ

女性の卒業袴は、きっと明治時代の女学生スタイルから受け継がれてきたものと何となく想像できますが、袴の歴史や変遷を知ると平安時代まで遡って学業との繋がりが見えてきました。

現代でも、卒業式では多くの女性が袴スタイルを受け継がれていることに感銘を受けますね。

また、袴のノスタルジーな雰囲気が人気で、観光一日袴レンタルなんかもあったりします。

時代が変わっても、おしゃれを楽しみたい女性の心は変わらないという事ですね。

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