翠山工房|幻の染に魅せられて…夢幻 辻が花|㈱桐屋とは

※写真は、みやたけ工房より引用

翠山工房の歴史は遡ること約400年前、島原の乱や寛永の大飢饉などがあった江戸寛永期の創業とされている新潟県十日町市にある「株式会社 桐屋」の事で「辻が花」を創作している工房になります。

翠山工房の名前の由来

明治初年に五代目田村久平が機屋(はたや)を生業として工房を開く際に十日町地方(越後・旧妻有の里)の翠濃い山々、水清くして美しい景観から雅号を「翠山」とし、創作の場を「翠山工房」と命名しました。

昭和40年代に入り、七代目田村憲太郎が織物から染物へと転換し、昭和52年、京越会(京都織物商業組合と十日町織物工業協同組合の合同機関)の新商品開発事業が実施された際、京都織商からの参考図案の中に江戸時代初期で途絶えた「辻が花」の色付きヒナ型図案があり、その提案に手を挙げたのがきっかけとなり翠山工房の辻が花制作の検討が始まります。

八代目田村久策の陣頭指揮の元、辻が花に魅せられた職人たちでプロジェクトチームを発足し約1年の月日をかけ、昭和54年の春に翠山工房謹製辻が花訪問着の完成に至りました。

現在の九代目田村憲一氏率いる翠山工房では、頂点を極めるべく工程のほとんどを職人の手作業によって制作しており、手描き辻が花染めを代表する歴史ある名匠として全国に名を馳せています。


※写真は、みやたけ工房より引用

左:みやたけ工房代表 山本博美  右:桐屋翠山工房代表  田村憲一氏

辻が花とは

辻が花とは、室町時代の中期から安土桃山時代にかけて確立した「縫〆絞りを主たる技法とした絵模様染め」になります。

室町時代中期における辻が花染めには名称がなく、主に麻地の絞染・模様染した夏の帷子(かたびら)の事で、町衆が着る庶民的な衣のことを指していました。

室町後期に入り、刺繍に金銀の摺箔を併用した繍箔は、桃山染織の絢爛豪華さの象徴として、豊臣秀吉や上杉謙信、徳川家康等の武家に好まれ、江戸時代初期まで高級品として一世を風靡しました。

辻ヶ花の模様は、武士が鎧の下に着用する肌着の柄に用いられたと言われており、「藤」と「椿」を掛け合わせた架空の花で、『着物にしか咲かない幻の花』と呼ばれ幻想的な雰囲気が特徴です。

しかし、江戸後期に入り、非常に複雑な工程が必要な辻が花に比べて、自由に多色を使い絵画的表現が出来る「友禅染め」の普及により、製造工程なども継承されないまま、歴史から忽然と姿を消してしまいます。

短期間のうちに技術が急発達し、桃山染織に大きな足跡を残しましたが名前の由来や加工法、発祥もわからず、未だ多くの謎に満ちており学識研究者の間では現在も議論が交わされている程で、そうした幻想的な世界観が人々を惹きつける魅力となっています。

幻の技法を今に引き継ぐ翠山工房の『夢幻 辻が花』を是非一度ご覧ください。


※写真は、みやたけ工房より引用

翠山工房のカタログをご覧になりたい方は、みやたけ工房に無料カタログのご請求をお願い致します。

翠山工房の特徴

デザイン・手描き・絞りなどの全工程を産地内で、一貫して行うのが最大の特徴といえます。(京都では分業制)

地元の雇用創出により、地域の活性化に貢献しながら、絞り・手描き体験や工場見学なども受け入れ、地域に愛される工房となっています。

また技術面では生命線である辻が花を、輪郭に糸入れ(縫い)してから手で絞るという丁寧な技法で創作されています。


※写真は、みやたけ工房より引用

 

絞りは「縫い巻き上げ絞り」「平縫い絞り」「山折り絞り」「縫〆絞り」「巻き上げ絞り」の5種類を柄やモチーフの特徴によって使い分けます。

さらに「墨ぼかし」を手挿しにて辻が花の花部分に入れており、室町時代の現存するハギレにもみられる「墨ぼかし」の加工を見事に再現しています。


※写真は、みやたけ工房より引用

辻が花は、絞り染めを基調として描き絵・摺箔などを併用したもので、絞り染めの染色技法の結果として残る絞りの立体感が目を引きますが、本来は描き絵や墨ぼかしなどにもよって、全体的に立体感を表現する幻想的な美しい絵模様染めになります。

引き染めの工程では、熟練の職人が13mもの生地に鹿の毛で作った刷毛で染めむらなく一気に染め上げるには、非常に高度な職人技が必要です。


※写真は、みやたけ工房より引用

手描き友禅の工程では、50色以上ある染料を使用し、どの角度から見ても綺麗に見えるよう意匠構成された図案の柄部分に一色ずつ、それぞれ筆を使い分けながら色を挿していきます。


※写真は、みやたけ工房より引用

【初公開】一枚の辻ヶ花振袖が完成するまで/How to Make Kimono

翠山工房の概要

五代目:田村久平明治14年 第二回内国勧業博覧会にて褒章を頂く
七代目:田村憲太郎昭和40年代に織物から染物に転換
八代目:田村久策辻が花制作の陣頭指揮を執る
現九代目:田村憲一十日町織物工業協同組合の理事長として、行政を担う役割を果たしながら問屋との折衝や他産地との交流など、二十数社に及ぶ加盟染匠の代表として全国各地を訪問し、産地に貢献。

翠山工房の所属

十日町商工会議所
十日町織物工業協同組合

翠山工房の団体職歴

平成23年6月~27年6月十日町織物工業協同組合 第16代理事長

翠山工房の受賞歴

2008年十日町きものフェスタ 経済産業大臣賞 振袖「桂林」
2011年十日町きものフェスタ 中小企業庁長官賞 振袖「花山河」
2012年十日町きものフェスタ 振袖部門グランプリ 振袖「藤娘」
2013年十日町きものフェスタ 中小企業庁長官賞 振袖「藤百爛」
2014年十日町きものフェスタ 経済産業大臣賞 振袖「藤百爛」
十日町きものフェスタ 新潟県知事賞「訪問着」
十日町きものフェスタ 織物組合理事長賞「帯」
2015年十日町きものフェスタ 中小企業庁長官賞 振袖「藤百爛」
十日町きものフェスタ ユーザー審査「帯部門」最優秀部門賞「旋律 細々波(さざなみ)絞り」

有名人の着用

2002年
十日町雪まつりを舞台にしたサスペンスドラマ「着物デザイナー黛涼子の推理紀行3」にて、女優の眞野あずささんが翠山工房の辻が花訪問着を着用されています。

2009年
「徹子の部屋」にて、レスリングの浜口京子選手が翠山工房の辻が花振袖を着用されています。

2017年
春の園遊会にて、レスリングの伊調馨選手が翠山工房の訪問着を着用されています。

翠山工房の作品


※写真は、みやたけ工房より引用


※写真は、みやたけ工房より引用


※写真は、みやたけ工房より引用


※写真は、みやたけ工房より引用


※写真は、みやたけ工房より引用

まとめ

翠山工房のある新潟県十日町市は、高級絹織物産地として京都に次ぐ規模です。

十日町市の歴史は古く、1200年前の飛鳥時代から麻布の生産が盛んに行われ、江戸時代には「越後ちぢみ」、明治には「明石ちぢみ」、昭和には「マジョリカお召」や「黒絵羽織」など新商品の開発によって、常に業界をリードしてきました。

職人による手描き・手絞りに拘り、伝統に創意を重ねた「夢幻 辻が花」を制作している翠山工房は、十日町に数ある染匠の中においても名匠の一軒です。

辻が花は、絞りの凹凸によってシワが目立ちにくい為、お手入れが比較的簡単で振袖を購入される方には、特にお勧めです。

翠山工房のお着物をご覧になりたい方は、みやたけ工房までお気軽にお問い合わせ下さいませ。

みやたけ工房は、ホンモノの着物を製造する染匠を応援しています。

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