洋服みたいに、振袖にもブランドがあるのをご存知でしょうか?
基本、振袖にはどこのメーカーが制作した物なのかわかるように、〇〇謹製みたいな染屋さんの名前や落款にメーカー名が入っています。
ブランド名と混同されがちですが、実際には少し違ってきます。
例えば、洋服でよく知られている「 earth music&ecology 」。
こちらは、製造メーカーの名前ではなく、ブランド名になります。
製造は、株式会社ストライプインターナショナルというアパレルメーカーで、earthの他にも15以上のブランド展開をしています。
このように、メーカー名とブランド名は異なります。
ここでは、ブランドとして打ち出している振袖と普通の振袖との違いなど詳しくご紹介させて頂きますので、振袖選びのご参考にして頂けたらと思います。
ブランド振袖には2種類あり
ブランド振袖と一言でいっても、全て一括りで説明はできません。
大きく分けると、「量産型ブランド振袖」と「老舗染匠ブランド振袖」に分類されます。
「量産型ブランド振袖」は、有名モデルや芸能人を起用し、カタログ展開をする為、プリント加工にて大量生産される振袖がほとんどになります。
洋服感覚で、カタログを見て選べる魅力はありますが、同じ物が多く市場に出回っています。
近年では、アパレルブランドも振袖に参入しており、斬新なデザインで個性的な振袖が魅力といえるでしょう。
一方「老舗染匠ブランド振袖」は、手染めで生産される事が多く、古典柄の上品な図案の高品質な振袖です。
職人手染めの振袖は量産できない為、カタログを見て選べないデメリットはありますが、人とかぶる事がほとんどありません。
ブランド振袖と普通の振袖の違い
普通の振袖に比べて、よりデザインに特化しているのが、ブランド振袖になります。
ブランド毎に、異なるコンセプトを元に振袖をデザインしていますので、自分に合ったコンセプトのブランド振袖を選ぶ事で、より個性を強く引き出してくれます。
例えば、量産型ブランド振袖では、グラマラスな花魁をイメージしたブランドやピンクのバラなどを散りばめたラブリーなブランドなど現代に合わせた個性的なブランドが多くあります。
老舗染匠ブランド振袖では、日本舞踊で洗練された美意識で創作される吉澤織物のブランド「吾妻徳穂」や揺るぎない独創性と変わる事のない美学を守り時代を越え愛され続けるものを創作する久保耕の「久美すがた」などが全国の百貨店でも高い人気を誇ります。
ブランド振袖は、毎年新作を出す事が多く、普通の振袖は同じデザインの定番意匠を制作し続ける場合があり、新作振袖の定義が異なってきます。
『新作の定義』
ブランド振袖 ・・・ 新しいデザイン
普通の振袖 ・・・ 定番デザイン
ここで誤解されがちなのが、普通の振袖は前からあるデザインだからといって新作ではないという事ではありません。
定番デザインであっても、新しく染めた物なら、新作という定義になります。
などの理由から、定番デザインを引き継いで色違いや配色違いなど工夫しながら新作振袖として制作されています。
価格に差はない
量産型ブランド振袖と老舗染匠ブランド振袖では、同じブランド振袖であっても品質が大きく違います。
量産型ブランド振袖は、低コストで生産されていますが、カタログや広告代などの費用が上乗せされている分、着物本来の価格からはかけ離れています。
老舗染匠ブランド振袖は、職人が手染めで制作する高品質の振袖なので、高いイメージがあるかもしれませんが、実はそうでもありません。
余計な広告代を省き、問屋を通さず染匠と直接取引する事で、量産型ブランド振袖と同じ位の価格帯で提供できます。
染匠 久保耕 ブランド 久美すがた 表地価格 25万円(税抜)
染匠 吉澤織物 ブランド 吉田蓑助 表地価格 23万7千5百円(税抜)
染匠 桐屋 ブランド 夢幻辻が花 表地価格 22万円(税抜)
大きな問屋が強い力を持つ古い業界体制の中で、企業努力が必要となりますが、みやたけ工房では高品質・低価格を実現しています。
買い手良し・売り手良し・世間良しの精神に基づき、自らの利益のみを求めることなく、多くの人に喜ばれる商品を提供し続ける事で、お客様や製造元から信頼を得ています。
ブランドとして展開していない普通の振袖も多くありますが、あくまでデザインのコンセプトやテーマを持つか持たないか、なので基本的にはブランド振袖と価格差はないといえるでしょう。
アパレルの世界ではよく「ブランド価格」なる言葉を耳にしますが、呉服業界で例えるならブランドではなく、作家ものに該当するかもしれません。
全ての作家もの振袖がそうではありませんが、チェーン店が有名きもの作家さんの名前を借りて、プリント加工で量産している作家もの振袖が多くあります。
作家ものだからと高額で販売するか、作家ものなのにまぁまぁ手頃ですと高額で販売するかの営業方法は異なりますが、いずれにしても名前だけ借りたプリント振袖がほとんどです。
しかし、みやたけ工房でも取り扱いのある皇室献上作家「藤井寛」先生は、自ら染められた手描きの素晴らしい作品を創作されています。
本物の作家もの振袖は、生地から染め、仕上げに至るまで拘り抜いた職人技の結晶ですから、名前だけの作家ものプリント振袖とは見栄えが比べ物になりません。
ブランド振袖・普通の振袖・作家もの振袖 いずれを選ばれるにしても、適正価格で信用あるお店がおススメです。
まとめ
自分の好きな感じがブランドイメージとピッタリ合えば、洋服と同じでそのブランドのファンになる方も多くいらっしゃいます。
例えば、百貨店で一目惚れした京都の名匠「久保耕」の【久美すがた】ブランド限定で探されている方や幻想的な辻が花の魅力に心奪われ【夢幻辻が花】ブランド限定で探されている方など、今まで数え切れない程たくさんのお声を全国各地から頂いてきました。
ブランド振袖の種類・違い・価格など数多くありますが、自分好みのブランドや振袖を探すというのは振袖選びの醍醐味であり楽しみです。
ブランドに拘る必要はありませんので、自分らしい振袖との出合いを存分に楽しんで頂ければと思います。