成人式には、出席される新成人女性の約93%が振袖を着用しているといわれています。
みんなが同じような振袖ばかりを着ている中で、「他の子達と一緒はイヤ!目立ちたい!」という方におススメの振袖をご紹介させて頂きます。
しかし、成人式は大人への仲間入りですから一言で『目立つ』と言っても、悪い意味で目立つのではなく良い意味で目立つよう心がけましょう。
美しく上品な装いで、他の方と差をつけてもらえたらと思います。
総刺繍振袖
柄付けを染めではなく、すべて刺繍によって加工された希少な振袖です。
人の手によって刺繍を施しますので、制作には6カ月から長いものは1年くらいの月日がかかります。
京友禅などの染めの振袖と比べて、刺繍は柄が立体的な光沢感に包まれていて花嫁が着用する色打掛のように豪華絢爛です。
総刺繍振袖は、総絞りの振袖と並び、最高級の振袖に分類され、一際目立つ存在感を演出してくれます。
総絞り振袖
1粒ずつ生糸でくくっていき、着物1反で約20万個施されるため、熟練の職人でも年単位の時間を要する大変手間のかかった贅沢な逸品です。
「絞り」といっても、「鹿の子絞り」・「疋田絞り」・「一目絞り」・「大帽子絞り」・「小帽子絞り」など色んな技法を使い分けながら制作します。
柄の奥行きや気品ある風合いは、そうした緻密な計算によって表現されています。
総柄の振袖
京友禅は、元禄時代に扇面絵師の宮崎友禅斎によって考案された染色で、古来からの技法を継承しつつ、多彩な色調と絵画に近い自由な表現ができた事から、人気を博し普及しました。
京都では、それぞれの加工をそれぞれの職人が手を加え制作する、いわゆる分業制のため職人の技量によっても大きく出来上がりが異なってきます。
中でも、振袖全体に小付けの古典柄が散りばめられた総柄模様の振袖は、職人が手間ひまかけた華やかで希少な逸品物です。
辻が花振袖
室町時代から江戸時代に降盛して、友禅の技法が確立したのち、急速に姿を消した事から「幻の染物」と称される事があります。
故久保田一竹先生が独自の技法で、現代に再現されました。
複雑な絞りや多色染め分けなど高度な技術を必要とし、「着物にしか咲かない花」といわれています。
友禅に比べて生産量はごくわずかで、絞りの立体感や幻想的な風合いが目を引きます。
加賀友禅振袖
「加賀五彩」と呼ばれる臙脂・藍・黄土・草・古代紫の五色で構成され、京友禅より落ち着いた色調が特徴です。
デザインは写実的な草花模様を中心とした絵画調で、金箔や絞り、刺繍など染色以外の技法を使わずに「外ぼかし」や「虫食い」などの表現でアクセントをつけ繊細な風合いがあります。
加賀友禅は3つに分類され、一般的に出回っているのは「京加賀」や「新加賀」になります。
加賀染振興協会認定の作家が創作する「本加賀」は、職人まわりに地元の知り合いも多いことから石川県内で9割消費されるといわれ、市場にはほとんど出回らないといわれています。
紅型(びんがた)振袖
沖縄の自然を映し出した伝統の染物です。
自然の色を原材料に手作業から生まれる美しい色合いは、太古から琉球の王家や氏族、諸外国の王家など多くの人々を魅了してきました。
本場の琉球本紅型は手染めのため大変希少で高価なものとなりますが、和染紅型(京紅型)は型染めですので、お求めやすい価格の物が多くあります。
華やかな色合いで、個性的な雰囲気のため際立って見えます。
無地の振袖
成人式では華やかな柄の振袖が咲き乱れる中、あえての無地が最も目立ちます。
地味にならないよう色無地振袖の中でも、地模様が入っている物がおススメです。
非常に個性的で、帯や小物次第で着こなしの幅が広がります。
無地の振袖は、派手さを求めるのではなく、奥ゆかしい日本人の美的感覚といえるでしょう。
まとめ
目立つポイントは、あえて流行を外すことです。
花魁風や大正ロマン風などは個性的にはなりますが、流行しているので成人式に行ってみると着ている方が意外と多くいます。
生産数が少ない希少な正統派の古典柄振袖を選ぶ事で、周りとはひと味違う上品な存在感で目立ちましょう。